
タクシーに乗り込んだ僕達4人はそのまま港へ向かった。
おっさんの一人が港まで3200円で交渉してくれた。
途中、タクシー代は3200円を越えた。
タクシーの運転手はメーターを倒してくれた。
ぼろぼろの年季の入ったタクシーを見ると、申し訳ない気持ちではあるが、得した気分が勝っていた。
港に着くと僕達4人はタクシーの運転手さんに感謝の意を述べた。
おっさん二人とはテントでマラソンの反省会(飲み会)を約束しここで別れた。
僕とS君は昼飯を食いに街へでた。
港の近くには食べ物屋は結構あったけどあえて少し外れた路地に入った。
五島うどんの看板が出ていたお寿司やさんに入った。
このマラソン大会は五島うどんを食べるのも目的の一つだった。
僕達はカウンターに座った。
中ではおじさんが寿司を握っていた。
S君はかつ丼を頼んだ。
五島うどんは麺が細くさっぱりとして美味しかった。420円だった。
メニューを見るとお寿司も並みが850円と安い。
突然、おじさんがカウンターから出て僕の名前を呼び佐賀から 来たんですね…、と言った。
ゼッケンを付けて店に入ったので名簿で探してくれたようだ。
おじさんは無口な職人肌のような人であんまり話は弾まなかった。
でも、暖かさは伝わってきた。
うどんを食べ終わった頃S君のかつ丼が来た。
かつ丼やうどんは厨房でおばちゃんが作っていた。
仕事を終えたおばちゃんがカウンターに出てきた。
注文を取るお姉さんが他のお客さんのテーブルを片付けていると大きいバッタがいた。
お姉さんはおばちゃんにその事を告げると、おばちゃんはカウンターからでて、バッタをわしずかみした。
おばちゃんはカウンターに戻り、バッタをガラスのビンに手際よく入れた。
ふたの代わりにサランラップをして、くしで穴を開けた。
おばちゃんは僕に自慢気に小瓶に入ったバッタを見せ、お兄ちゃんバッタは見たことあるかいと言った。
僕はどう応えようか迷ったが、佐賀にもバッタはたくさんいますよと応えていた。
おばちゃんは少し寂しそうな顔をして、孫はバッタを見せると喜ぶんだよと言った。
会話は弾まなかったけど、暖かさは伝わった。
また来年、この店に来ようと思った。
僕達は店を出て、近くのパン屋に寄った。
メロンパン、クリームパンが半額で50円だった。
半額に弱い僕は気がつくと買っていた。
それを食べながら、港に向かった。
マラソンスタート会場は港の前の公園だ。
フェリーターミナルで4時過ぎまで時間を潰した。
S君はベンチで寝ていた。
僕はクリームパンにあたったのか3回、トイレを往復していた。フェリーターミナルのトイレは混んでいて少し離れた仮設トイレまで小走りで往き来した。
おかげで、ウォーミングアップはしなくてすんだ。
いよいよ夕焼けマラソンの開会式が始まった。
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